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— ALL REVIEWS (@allreviewsjp) 2020年2月19日
月刊ALL REVIEWS フィクション部門第14回
阿部賢一@kenichi_abe_
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豊崎由美@toyozakishatyou
読み解く本→
佐藤亜紀『黄金列車』(KADOKAWA)
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おもしろかったですね、佐藤先生が降臨するというサプライズ。佐藤先生がカトリックを信仰しているというのは知りませんでした。。カトリック、むかしは「旧教」といったものですが。プロテスタントは「新教」イスラムは「回教」、ムハンマドと呼ばず「マホメット」と表記されていたころもありました。聖書精読はしておくべきだろうか
それはさておき、表題についてのはなしは出そうで出なかった。ぼくが『黄金列車』を読んでいちばんやられたなと感じたのは、「暗い日曜日」のあつかいです。
戦間期のハンガリーを起点とする小説で、自殺が重要なモチーフのひとつである『黄金列車』という作品であれば、「暗い日曜日」を避けて通るのはあまりに不自然なわけですけれど、本作ではそれをほのめかしながら巧妙に避けて進行していく。
薔薇のことを、バログは考える。三十本くらいはあっただろうか。灯りのない食堂のテーブルの上、いつものように二人分の食器を差し向いに置いた脇に白い薔薇が生けられて、締め切った窓から漏れる夏の夕の薄明りに浮かんでいる。台所のコンロの上ではスープの鍋が冷えている。 22ページ
(本稿とは関係がないのですが、一昨日キムチ鍋をガスコンロにかけたまま眠ってしまい鍋の中身が炭化して弊マンションの室内は極めて炭くさい状態になっています。)
佐藤先生は作品の出だしでにおいて、自殺=「暗い日曜日」をほのめかすのですが、この後おくびにも出しません。
「暗い日曜日」が実際に提示されるのは、本作品の最終盤であり、しかも「1945年4月25日」に「指揮系統から外れてしまった武装親衛隊」の「バルカン半島(少数民族が多く住むヴォイヴォディナ)出身」の「士官(ぜんぜん士官らしくないけれど、人材不足だったのだろう)」が「耳コピのハンガリー語で」「酔っぱらって歌う」(しかも曲名は明示しない)というひねりにひねりにひねりにひねった(やかましい)場面です。こんなキレキレのプロットに読者はどう対抗すればよいのだろうか。