酔頭禿筆日記 sioux_pu’s diary

現像ソフトも編集ソフトもない撮ってだしです。というのもどうかな、と最近思っています。

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 ときとして左右を耕地に挟まれた坂道を馬車が上がっていくとき、昔の巨匠が貴重な小さい一輪の花をその絵に描いて署名としたように、コンブレーのものに似たためらいがちな矢車菊の花が、両側の畑の現実感をいっそう強め、それらに本物であるというしるしをつけ加えながら、一輪また一輪と馬車を追って来ることがあった。たちまち私たちの馬はそれらの矢車菊を遠く引き離してしまうが、いくらも行かないうちに私たちはまた別な一輪を見つける。それは前方の草のなかに青い星を挿しこんで、私たちの来るのを待ち受けている。