酔頭禿筆日記 sioux_pu’s diary

現像ソフトも編集ソフトもない撮ってだしです。というのもどうかな、と最近思っています。

メルヴィル

メルヴィル『白鯨』その4 この「give up」は、どの「give up」か

的外れメルヴィル『白鯨』しつこく4回めです。 その3では、エイハブが自らはなった銛索に絡めとられ、海中に引きずり込まれる場面を見たわけですが、直前に、エイハブは遺言ともいえるような台詞を語って(叫んで)います。その台詞のなかに、翻訳によってか…

メルヴィル『白鯨』その3 翻訳の「速さ」

Moby Dick, Herman Melville. pic.twitter.com/0uRjmJlmjB — Julieta451 (@Julieta451) September 28, 2021 一気に寒くなりました。洗濯物はなかなか乾かないし、ぼーっとして外に干したままでおくと、一度乾いたのにまた湿ってしまったりします。そんななか…

メルヴィル『白鯨』その2 棕櫚と椰子_2

前回から3週間ちかく空いてしまった。 前回は「palm」の訳語が、社会においてヤシが植物として一般に認知されるのに伴って、棕櫚から椰子へと変わったのでは、ということを書いた(そんな大げさな話じゃないんだが)。ところが、いちばんあたらしい現行の岩…

メルヴィル『白鯨』 棕櫚と椰子

前回、バショウをシュロと取り違えて書いてしまったのだけれど、そのつながりで「棕櫚」と訳された語について。 角川文庫版の下巻も入手したので現在手元にある翻訳は5種類。訳の古い順に ①阿部知二訳 岩波文庫旧訳版 1956-57年発行(1947年訳を改訳したもの…

メルヴィル『白鯨』 日本語訳を比較してみたい

以前、うえの棕櫚 (※9/16やだこれ芭蕉じゃないですか) を撮ったときに『白鯨』の最後の部分を連想したことを書いた。 沈みゆくピークォド号、そのメインマストの最上部に登っていたタシュテゴはなおも旗をマストに打ち付けようとしている。ちょうど棕櫚の…